活動レポート
農林水産省のみなさんが視察に訪れました。

2月27日、農林水産省から4名の職員の方が、愛ふぁーむプロジェクトの賛助メンバーである就労継続支援A型事業所「ちよだふぁーむ」の農園へ視察に訪れました。
視察の目的は、当プロジェクトが取り組む農福JAS野菜の生産と消費の循環モデルが、農福連携の成功事例として注目されたためです。
視察の背景 ― 農福連携の課題
愛知・岐阜・三重の飲食店と企業が「農業」×「福祉」×「飲食」の「農福食連携」を目指す当プロジェクトでは、この地域の障がい者の方達が大切に育てた農作物をプロジェクトメンバーの料理人たちがメニューに取り入れ、来店されたお客様に提供し、代金をお支払いいただく生産サイクルを実現し、その売上が障がい者の方達の給料となることで、農業・福祉・飲食をつなぐ新たな経済の循環を生み出しています。
この仕組みが評価され、農林水産省が実態を視察するに至りました。
【当プロジェクト生産リーダー
近藤 利一よりメッセージ】
〜農福食連携の新たな挑戦〜
従来の農福連携の課題
就労継続支援A型事業所ちよだふぁーむの運営を通じ、社会福祉的視点の課題として、農業と福祉を連携させるだけでは、「障がい者が作る野菜は “お涙頂戴” になりがち」で、本当の意味での就労支援が行なわれていないこと。
現在の農福連携では、多くのケースで「障がい者が可哀想だから野菜を買う」という構造になっており、私たちは「同情で野菜を買ってもらうのではなく、社会の一員として対等に評価され、普通に美味しい野菜だからこそ買われる仕組みが必要だ」と農福連携の現状に警鐘を鳴らしています。
つまり、従来の農福連携の枠組みでは、持続可能な就労支援にはなり得ないということです。
農福食連携 ―「作る」だけではなく「伝える」
私が提唱するのは、「農福」だけでなく「農福食」の連携です。農業と福祉だけではなく、飲食業の力を加えることで、障がい者が育てた野菜の価値を消費者に正しく伝えることができる。
具体的には、愛ふぁーむプロジェクトの正会員である料理人たちが、この地域の障がい者の方達が大切に育てた農作物を使って料理を提供する。消費者はその料理を味わい、野菜の美味しさを実感する。そして、その売上が障がい者の給料となり、経済が回る。この仕組みによって、障がい者が単なる生産者としてではなく、「食の価値を提供する担い手」として社会に参加できるようになる。
「農福連携の成功は難しいが、『農福食連携』であれば、社会に受け入れられ、持続可能な形で循環できる」
この考えを農林水産省の皆様に説明し、単なる農福連携ではなく、農福食連携の必要性を強く訴えました。
視察の成果と今後の展望
視察を通じて農林水産省の皆様から、ちよだふぁーむを始めたとした「愛ふぁーむプロジェクト」の取り組みを『素晴らしい事例』と評価いただきました。
特に、「農業」「福祉」「飲食」の3つを融合させた循環モデルが、単なる支援にとどまらず、障がい者の方達が社会の一員として活躍できる仕組みになっている点に高い評価を得ました。
今後、愛ふぁーむプロジェクトの正会員、協賛企業、賛助メンバーが連携を強化し、農福食連携のさらなる発展を目指します。
また、農林水産省に対して、持続可能な就労支援の新たな形を提案し、「誰も取り残さない農福連携」の実現に向けた具体的な計画を進めてまいります。
今回の視察を終えて、農福連携が農福食の連携に変わって行くことを実感しました。
「本当の意味での農福連携就労支援」を社会に広げるための、新たな挑戦に向けて、邁進してまいります。